鈴木農園のいちご栽培の一年
11月親株作り(苗作り)
来シーズンの苗の親株を作ります。ランナーという子苗を挿して1~2週間で根が張ってきます。
1月親株定植(苗作り)
成長した苗を育苗ハウスの専用トレイに定植します。たくさんランナーを出させる為しっかりと寒さにあてます。
7月ランナー切り離し
7月までにに13万本ほどのランナー(子苗)を小さな鉢にうけます。
親株から切り離し、葉かきをして夜冷庫に運びます。株を傷つけたら要注意、炭そ病に感染発病しやすくなります。一回でも気を抜くと取り返しがつかないのです。
(本圃)
本圃では今シーズンの収穫を終了します。作型によっては9ヶ月間もの間収穫を行います。収穫後の株を片付けてベットは次の定植へ向け太陽熱で殺菌処理します。
8月夜冷庫入庫 定植
(苗作り)
夜冷庫という大きな冷蔵施設に苗を運び、可動式の台に苗を乗せ毎日出し入れして低温と短日の環境を作り花芽をつけさせます。普通の自然環境より約一ヶ月早く花芽をつけます。これにより10月から収穫することができ、2番果房も前進して2番、3番果と充実したいちごがたくさん収穫できます。この時点の苗の出来で今作の70%くらいは決まってしまいます。無病でよい苗に仕上げることがもっとも重要で、暑い中、繊細な管理技術が必要です。炭そ病に感染したら育てた苗が次々と枯れていき大変なことになってしまいます。
8月下旬~9月定植
花芽を顕微鏡で確認して定植適期にベットに植えていきます。下旬まで作型を分け定植していきます。当農園では、8月末定植60%、9月10~定植35%、普通5%の割合で作型を分けています。定植時期をずらすことで収穫のピークをずらします。まだまだ暑い環境でいちごも大変ですが、定植初期にどれだけ根を張れるかで収量に大きな影響がでてきます。一部ハウスではエアコンで夜間冷房と特殊なシートで短日処理を行い、最も需要が高まるクリスマス期に向けた連続収穫を行います。
中旬には早い作で出蕾、開花しミツバチをハウスにいれ受粉作業をしてもらいます。気を抜けないのが台風です。どんなに丈夫な施設でも自然の猛威にはかないません。2011年の9月21日に浜松市に上陸した台風15号(上陸時950hPa過去最強)では、静岡県西部の施設園芸農家は甚大な被害を受け、当農園でも施設の一部倒壊などに見舞われましたが、様々な方のサポートで復旧することができました。
10月初収穫
開花から20日ほどで収穫が始まります。まだまだ気温が高く酸味が強く小さなイチゴですが、ケーキ用などで大活躍します。一年で最もいちごが高い時期です。下旬になると気温も下がりハウスを締め切り、ハウス内の環境をコントロールすることができます。植物の生育に最適な環境を作る為に温度、湿度管理、CO2施用等を行います。ここからの考えや管理が植物を育てる農家にとって、最も重要で最も面白いところです。また害虫のハダニ対策に天敵のダニを放飼します。はるばるオランダやイスラエルからダニがやってきます。ハウスのいちごの葉に定着すると、悪さをするダニやアザミウマを食べてくれ、ダニを殺す農薬を殆ど使用しなくてすみます。
11月1番果収穫ピーク
主に業務用向けに出荷されケーキなどに使われます。中旬には早い作で2番果房が出蕾、開花します。遅い普通の作も収穫が始まり、この時期になるとやっと大粒ないちごが収穫できます。
12月収穫
遅い作の最盛期となり、早い作では中旬から下旬には2番果の収穫もはじまります。クリスマス前にはケーキ用の需要が高まり、この時は引き合いが特に強まります。12月になると夜温も下がり成熟したおいしいいちごが成ります。下旬よりいちご狩りの入園をスタートします。
1月収穫
二番果の収穫がピークを迎えます。
いちごの株には20個も30個も花が咲いているのでミツバチも大忙しです。日射量が少なくハウス内の気温も低く推移し、いちごもたくさん成っているのでいちごの株が疲れやすい時期です。摘花作業がかかせません。
一株に成らせるいちごの量を減らして株の負担を減らします。この時期はゆっくりといちごが赤らみ最高の味になります。
2月収穫ピーク
日射量も増えるこの時期、果房が続き一気に収穫量が増えます。一気に着色が進み、収穫、パックつめにイチゴ農家は大忙しです。いちごは鈴なり状態でいちご狩りに最適な時期です。
3月収穫ピーク
引き続きいちごが一番おいしく、たくさん取れる時期でいちご摘みには最適な時期です。鈴なりで次々にいちごが赤らみます。
4月、5月
気温の上昇とともに、いちごの味もすこし酸味が増えてきます。半年以上続いた収穫ももう少し続きます。